re:Invent Expoからスポンサー各社の技術傾向を知る

みなさん、こんにちは。horsewinです。 Japan AWS Ambassadors Advent Calendar 2023の12/25分のブログです! ラストランナーとして、BTC熊谷さんからバトンを受け取りました。

熊谷さんのブログでは、「システムのコスト見直しに利用できるAWSサービスと見直しをするべきタイミングについて」という話題に触れられていました。Amazon.com CTO Dr.Werner Vogels がre:Invent 2023 Keynoteの中で発表したドキュメントである「THE FRUGAL ARCHITECT」とも関連があるテーマで重要な観点でしたね。

thefrugalarchitect.com

このブログでは再度 re:Invent にテーマを戻していきます。 re:Inventでは数多くのコンテンツが提供されています。

  • Keynoteからの新サービス発表
  • 事例セッション
  • サービスセッション
  • ワークショップ
  • Expo
  • GameDay/Jam
  • etc...

現地にいる温度感を全力で感じることができるKeynoteはいわずもがなですが、ワークショップやGameDayも非常にオススメです。しかし、今回のブログではあえてExpoに言及します。

Expoはre:Invent スポンサー企業の方々が自社プロダクトやサービスの紹介をする場です。多くの企業がどういったビジネスや技術に関心を持ってプロダクト作りをしているか見ることができます。AWSに携わるプロダクトが2023年時点でどこに関心を持っているか、という2023年の締めとしてよいテーマかなと感じたため、こちらでエントリをします!

今回触れること、触れないこと

次の内容について、本エントリで述べていきます。

触れること

  • re:Invent 2023 Expo概要
  • Expoに出展している企業やプロダクトの分類
  • 出展傾向から見える技術活用の傾向

触れないこと

  • re:Invent 2023 Expoへの出展方法
  • 各社/各プロダクトの詳細
  • SWAGの内容

では、本編に進んでいきましょう。

re:Invent 2023 Expo概要

re:Invent 2023 Expo(以降、Expo)とはAWSパートナーであるre:Invent スポンサー企業の方々が自社プロダクトやサービスの紹介をする場です。ブース展示をしているサービス紹介をする流れです。re:Invent 2023ではAWSのブースも含めて406のブース展示がありました*1

私が以前参加をした2019年ではイベント開始時点でExpoがオープンされていた記憶があります。今回2023年は初日16時からWelcome Receptionという形でオープンされました。

Expoオープンを待ちのぞむ人々

オープンして入場をすると人の洪水に流されつつ、VMwareとHashiCorp等の大きなブースが目の前に展開されていました。

お祭りのような混雑

Expo全体像は次のようになっています。真ん中の「AWS Village」にはAWSの各種サービスカテゴリごとにブースが用意されており、サービス担当者と会話ができます。また、Infrastructure Solutions Zone、Security Zoneのように類似したサービスがまとめられているのも特徴かと思います。

re:Invent 2023 Expo 全体像

Expoに出展している企業やプロダクトの分類

前節では、Expoの概要に触れました。こちらで出展しているブースはAWSパートナーである会社スポンサーであることから、いずれもAWSに関連するプロダクトであると考えられます。

では、AWSに携わるプロダクトが2023年時点でどこに関心を持っているかという観点で、出展内容を調査していきます。 これにより、AWSを利用してどういったビジネスが展開されているかを知るきっかけづくりに活用ください。

まず、カウンティングした企業/プロダクト一覧の分類分けをします。ブースの中にはAWSのブースもありますが、そちらは明示的に除外しました。 Expoに展示をしている企業一覧に対して、次のようにカテゴリを割り振っていきました。

会社名 カテゴリ情報
Abacus.AI 人工知能 (AI)
Acorn Labs データ分析
Aerospike データベース
AI21 人工知能 (AI)
Aisera 人工知能 (AI)
・・・ ・・・
Zscaler セキュリティ

こちらのカテゴリ分けですが、大枠は生成AIにデータ投入をしてカテゴリ分けをしてもらいました。 最初はChatGPTBardを使ったりしていたのですが、今回のブログ用にはBedrockClaude 2.1を活用しました*2。TemperatureやTop Pの値はあまりいじらず、プロンプトを少し工夫して出力してもらっています。 大枠を生成AIで割り振ってもらった後、細かいところは自分で製品概要をチラ見しながらカテゴライズをしました。

次の表がTop15となります。すべて列挙すると見づらいところもあるためTop15以降はその他として分類しました。

カテゴリ 総数(401)
セキュリティ 55
ITサービス管理 41
データ管理 32
データ分析 24
ITコンサルティング 22
データベース 20
ソフトウェア開発 18
人工知能 (AI) 13
オブザーバビリティ 13
DevOps 11
ネットワーク 10
FinOps 9
ストレージ 9
インフラ管理 8
バックアップ 8
その他 108

分類結果

出展傾向から見える技術活用の傾向

ここまででブース出展の分類を知ることができました。分類結果をいくつか見ていきましょう。

変わらず強いセキュリティ

やはりセキュリティ分野を手がけるAWSパートナーは多いことがわかります。有名どころのCrowdStrikeTrend Micro以外にも筆者の知らないセキュリティプロダクトが多数ありました。 AWSのサービスアップデートにも、「AWS Security Hubコントロールのカスタマイズが可能」、「Amazon GuardDutyが脅威検知の対象範囲を拡大」や「InspectorがEC2のエージェントレス診断に対応」などおもしろいアップデートが多数ありました。

セキュリティへの投資は各社まだまだ続くと見てよいでしょう。

aws.amazon.com

aws.amazon.com

複数のプロダクトを扱うパートナーが多い

分類「ITサービス管理」が2番でした。「ITサービス管理」のネーミングは生成AIがつけたのですが、こちらには複数のプロダクトを取り扱う企業を分類しています。例えば、JIRAやConfluenceを持つAtlassianさんなどです*3

ここから見えることとして、単独プロダクトに特化せず複数のプロダクトを有機的につなげることで1つのエコシステムを醸成しようとしている企業が多いことがわかります。

特に大企業の場合、複数の技術を活用することでいわゆるSPoFをなくして安定した売上を確保するという思想からも自然かと思います。

FinOpsがジワジワきている

FinOpsは「Financial Operations」の略称です。つまり、企業の財務に関わるオペレーションや判断を効率化することを指しています。AWSを含むパブリッククラウドの文脈の場合、クラウドコストの最適化を行うことによるコスト管理の改善として考えるとわかりやすいです。

今回のre:Invent 2023の発表でも、「CostExplorerの新規UI」や「Cost Optimization Hubの提供を開始」など、よりコスト管理やコストの最適化に向けた発表がありました。

aws.amazon.com

冒頭で述べた24日担当の熊谷さんのブログTHE FRUGAL ARCHITECTでも同じようにコストへの着目がありましたね。

アーキテクトとして活躍するためにはアプリケーションの構築のみならず、コストを強く意識することが今後AWSを活用してビジネスを作り上げていく際に必要な素養であることが見える分類結果となりました。

人口知能(AI)が意外と少ない?

最後にAI周りの分類結果についても触れます。

Bedrockでも利用可能なモデルであるJurasic-1を手がけるAI21 LabsPerplexity AIなどはこちらのカテゴリとなります。

AI/MLの発表は今回のre:Invent 2023でも多かったことからAIプロダクトのブースもきっと多いだろうと推測していました。 一方、AIを全面に出しているプロダクトは予想よりも少なかったです。

こちらの理由は明白で、各企業はあたりまえのようにプロダクトへAI技術を組み込んでおり、それをメインテーマとしていないからでした。

  • セキュリティプロダクトでは異常検知へのAI活用
  • オブザーバビリティプロダクトではインシデント、依存関係等の自動検出にAI活用
  • ソフトウェア開発プロダクトではコード生成にAI活用
  • etc...

AIの民主化が進み、誰でもAIを活用できる現在だからこその結果ですね。

今回、一番熱狂したであろうAmazon Qの発表も踏まえると、AWSを活用していく中でもAIは不可避になってきています。当たり前にAIの力を借りながら、ビジネスへの活用を加速していきたいですね。

aws.amazon.com

まとめ

今回のブログでは、re:Invent を軸としてAWSのサービスアップデートのみならず、周辺環境の変化について考察してみました。 2023年の動向をAWSパートナーのプロダクトカットでとらえながら、2024年の技術がどのように進化していくかをワクワクしながら新年を迎える準備をしていきましょう〜。

以上、Japan AWS Ambassadors Advent Calendar 2023のまとめをhorsewinからお届けしました。

qiita.com

*1:Exhibitor Floor Plan - AWS Re:Invent 2023 をベースにカウントしています。

*2:最初はClaude Instantを使っていたのですが、いい感じにならなかったので2.1を使うことにしました

*3:会社さんによってはITコンサルに近い会社さんもいて、どう分類しようかと悩みました。